日本化学会誌(化学と工業化学)
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機能性薄膜材料としての無電解めっき薄膜の作製
逢坂 哲彌松原 浩増渕 長則
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1989 年 1989 巻 10 号 p. 1659-1666

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抄録

無電解めっき法による高機能性薄膜として,熱爵勺に安定な薄膜抵抗体および錘直磁気配録媒体について行った研究例を報告する。
熱的に安定な薄膜抵抗体は,温度抵抗係数(TCR)が低くかつ高い熱的安定性を有する薄膜を得る必要があり,その条件を満たす無電解めっき薄膜としてNiMe合金を見いだしている。この合金が,このような特徴を持つ原因について,通常の無電解NiPI膜との比較を行いながら構造解析を中心に研究を行った。この含金薄膜は,めっきしたままの状態では偏析に富んだ非常に細かい結贔構造を持ち,その構造が比較的高温まで保たれるため,高い熱的安定性を有することを見いだした。
垂直磁気詑録媒体としての薄膜はCo合金めっき膜により得られることを見いだし,この垂直異方性合金薄膜の鋸直傑磁力Hc(⊥)の膜厚依存性が記録再坐特性を左右する重要な因子であることを記録再生結果から確認した。さらに,準軟磁性下地層を有する媒体はリングヘッドを用いた場合でもいわゆる二層膜効果により出力増大を示し得ることが明らかとなった。この効果に加え結贔性向上効果をあわせもつ下地を用いた媒体において非常に高い詑録密度が得られた。このような二層膜媒体とリソグヘッドとの組合せに対するポテンシャルとその際の媒体設計についても考察を加えた。

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