日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルカリ性領域における“カプセル型”逆相系充填剤の溶離挙動
神田 武利小山 純一中村 淳大津 裕太田 忠男
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1989 年 1989 巻 4 号 p. 702-705

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抄録

シリカゲル (球型5μm・細孔径12OÅ・表面積 335m2/g) の表面をシリコーン樹脂でおおったのち, オクタデシル基で修飾した新しい充填剤 (“カプセル型”充填剤) を製造し, これを用いておもにアルカリ牲領域における基礎的な溶離挙動について検討した。
移動相の pH を 2 から 1O まで変化させ, 弱解離性物質の溶離挙動について調べた。その結果, 弱酸性物質の場合と同様に, 塩基性物質についても移動相の pH を高くするイオン抑制効果により, 保持を強くすることができた。
移動相の pH を 10 に調整し, アルキルベンゼン誘導体, 安息香酸エステル誘導体および m-ハロアニリン 誘導体を試料としてその溶離挙動を調べた。その結果, キャパシティーファクター k' の対数 (ln k') と絶対温度の逆数 1/T の間および log k'と疎水性定数 log P の間にそれぞれ直線関係が成立し, アルカリ性領域においても, 従来と同様に分離が進行していた。
“カプセル型”充填剤のアルカリ性領域における耐久性について調べたところ, pH=9 では 550時間以上, pH=10 では300時間以上の連続運転が可能であり, 十分アルカリ性領域で使用可能であった。

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