抄録
合成樹脂の構造推定を行なう一手段として, パーソナルコンピューターを使用した多変量解析法の適用を試みた。まず, 14個の構造のわかった既知の合成樹脂と, 3個の構造のわからない未知の合成樹脂について, それぞれに熱分解ガスクロマトグラフィーを行なった。つぎに, 個々のパイログラムをピーク高と保持時間をもとに数値化し, 多変量解析のためのデータとした。
多変量解析において, クラスタ憎分析では, ウォード法, 主成分分析では, 合成変量の分散を最大にする方法, 因子分析では, 規準パリマックス法を使用して, 距離, 主成分得点, 因子得点を計算した。得られた数値を総合的に判断して, 未知の合成樹脂の構造推定を行なった。その結果, 未知試料は, 高圧ポリエチレンあるいは, ポリ-1, 2-ブタジエン, 未知試料2は, 既知試料中に特に類似したものはなく, 未知試料3は, 天然ゴムとの類似盤が高いことがわかった。