日本化学会誌(化学と工業化学)
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化学混合噴霧乾燥法によるルテニウム触媒の調製法とベシゼンの部分水素化反応
丹羽 修一水上 富士夫鳥羽 誠村上 達夫上田 正実
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1990 年 1990 巻 3 号 p. 284-290

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抄録

高牲能で,かつ安価なシクロヘキセン合成用触媒の開発を目的に化学混合法と噴霧乾燥法を利用する触媒調製法とそれを用いる反応条件を検討した。触媒担体原料として市販の9種類のコロイドゾルを用いて触媒を調製した結果.スノーテックス-C(シリカ)を担体原料とし.エチレングリコールに塩化ルテニウム(III)を溶解した溶液を加え均一分散溶液としこれを噴霧轍した触媒ゲルを.さらに6l/h,の水素流通下で400℃,1~5時間,活性化処理した触媒がベンゼンからのシクロヘキセン合成に最も,好適であった。なお,触媒調製時に用いるエチレングリコール量はシリカに対してモル比で2.5~3.8倍がよかった。上記の条件で調製された1wt%Ru-0.1 wt% Cu-SiO2触媒2gをベンゼン160m1および水100mlの混合液に加え,反応温度180℃,水素圧70kg/cm2で,硫酸コバルト(II)のようなr腐食性添加物を併用することなく反応を行ったところ,34.7%の収率でシクロヘキセンが生成した。ヲノヘゴリさらに,この反応系中に非腐食性の1.4-ブタンジオールあるいはベンジルアルコールを少量添加するとシクロヘキセン収率は約40%となった。この最高収率を得た条件下で反応をくり返し,触媒寿命を調べた。反応回数の増加にしたがいシクロヘキセン収率の低下が認められたが,触媒を最初の活性化条件で再び処理すると,触媒は初期活性をほぼ完全に回復した。この実験では,触媒は3回の再生処理を施すことにより35回くり返し使用され,この間シクロヘキセン収率は25~40%であった。

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