1990 年 1990 巻 6 号 p. 601-610
1・3-ジ置換1・1,3,3-テトラアルキルジスタノキサンの特異なテンプレート効果とそれを利用する合成反応についてまとめた。それらの化合物では中心酸素および1,3-位にあるハロゲンまたはヒドロキシル基が隣の鎖中のスズに配位することにより特異なはしご状二量体構造が形成されている。1,3-位にあるこれらの基は橋かけのために活性化されておりアルコキシル基により容易に求核置換される。一方・ハロゲンあるいはヒドロキシル基に結合しているスズはLewis酸性が高く,カルボニル酸素がさちにこのスズに配位することができる。ジスタノキサンは無機性の中心骨格を有するにもかかわらずすべての有機溶媒に易溶である。したがって,極性反応を脂肪族炭化水素のような非極性溶媒中で行うことができる。このような特性を活かして極めて温和な条件下でのカルボニル基の様々な変換反応が可能となった。
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