日本化学会誌(化学と工業化学)
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強酸性電解液中における溶存塩素の電気化学定量
佐藤 秀行三沢 義男墨井 勉
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1990 年 1990 巻 8 号 p. 842-847

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抄録
塩素と同一uv吸収波長を有するBi3+が共存する強酸性電解液中における溶存塩素の分析定量に関して.RuO2被覆多孔質カーボン電極を用いた電位規制法の適用の可否を検討した。まず,サイクリックボルタンモグラムの測定を行った結果,電位域(0.50~0.80Vvs.Ag/AgC1/3.3mo1・dm-3KC1)は・Bi3+の共存の影響を受けず,溶存塩素だけが電気化学的に還元される限界電流密度域であると推定された。次に,同種電極を作用極に使用粒た液フロー型溶存結合塩素センサーを試作し,作用極電位を前詑電位域内に設定して,電解液流速1cm・s-1,電解液温度24~40℃ の一定温度下で測定されたセンサー電流値は,溶存塩素濃度と原点を通る直線関係を示した。さらに,溶存塩素の拡散係数の温度依存性の検討結果から,溶存塩素の拡散の活牲化エネルギーとして約4.3 kcal・mol-1が得られ,液温が変化した場合にも,溶存塩素の計算値と実測値とはよく合致し,溶存結合塩素センサーの試作に成功した大型電池系の本センサー実試験では,気泡付着の問題が残るが,将来の実用化の見通しが得られた。
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