日本化学会誌(化学と工業化学)
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GrayanotoxinIIIのアセチル化におけるヒドロキシル基の反応性
清野 公師寺井 忠正後藤 邦夫
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1991 年 1991 巻 2 号 p. 149-152

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抄録

GrayanotoxinIII (3,5,6,10,14,16-hexahydroxygrayanotoxane ,G-III) は 3,6,14 位に第二級ヒドロキシル基,また, 5,10,16 位に第三級ヒドロキシル基の合計6つのヒドロキシル基をもつ四環性ジテルペノイドである。本報においては,0~100℃ の間に5段階の反応温度を設定し G-III を無水酢酸-ピリジンによりアセチル化反応を行うとともに,その反応経過を詳細に検討した。その結果,ヒドロキシル基のアセチル化に対する反応性は,6位が最も高く,以下,3位,14位,16位の順であった。この中で,6位のヒドロキシル基の反応性は極めて高く,0℃ではこれのみが選択的にアセチル化された。一方,3-OHと14-OHのアセチル化速度の比は,100℃においては 5 : 2 であったが,低温になるにつれその比が減少し,20℃では約 1:1 となった。さらに,第三級ヒドロキシル基については77℃以上で反応した結果,16位のみがアセチル化された。以上の結果から,この反応は逐次競争反応にしたがい進行することが判明した。

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