日本化学会誌(化学と工業化学)
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短期変異原検出法であるSOS/umu法の検出感度の向上
青木 豊明大森 真珠美大黒 宏司中村 清一
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1991 年 1991 巻 5 号 p. 422-426

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抄録

短期変異原検出法であるSOS/umu法を環境中の変異原物質の検出に適用するため,感度の向上について検討した.この方法は,試料中の変異原物質が試験菌のDNAに損傷を与えると,菌体内にβ-ガラクトシダーゼが産生し,この酵素と添加したo-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)を反応させ,遊離したo-ニトロフェノールの量を吸光度を用いて測定することにより酵素の産生量をもとめ,変異原性を評価する方法である。まず酵素産生量を測定するために用いる菌液量の最適化を行い,従来の0.25mlから1.Omlに変更した。次に菌の細胞膜をONPGが透過しやすくするために添加する界面活性剤と補助剤について検討し,ポリ(オキシエチレン)(23)ドデシルエーテルとトルェンの組み合わせが最も感度が高いことを明らかにした。また,添加するONPG量の最適化と,ONPGと酵素の反応時間について検討し,ONPG(4mg/ml)量を1.0ml,反応時間を45分とそれぞれ決定した。以上の最適条件下でAF-2を変異原試料として用いた場合,従来法よりも12倍以上感度を向上させることができた。また,実際試料への適用として河川水に殺菌剤である塩素,および塩素代替殺菌剤であるクロラミン,二酸化塩素,オゾンなどを添加し,それらの変異原性について比較検討した。

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