1991 年 1991 巻 5 号 p. 591-596
種々の金属塩化物(M : Al,Bi,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Ni,Pb,Sn,V,Zn)を触媒とするポリ塩化ビニル(PVC)の脱塩化水素反応について検討した。125℃で顕著な触媒活性を示したのはAl,BiおよびFeの塩化物で,その活性序列はAlCl3>FeCl3>BiCl3であった。AlCl3触媒の初期活性はきわめて高かったが,反応開始まもなく反応速度の急激な低下が観測され,反癒は約1時間で停止した。FeCl3触媒に関しても同様の結果が得られたが,この場合の脱塩化水素率はAlCl3の場合の約1/4であった。一方,BiCl3触媒の活性点は比較的弱いものと考えられ初期活性は高くはなかった。しかし,この触媒では活性低下がほとんど起こらず,PVCの反応はほぼ一定の速度で進行し最終的にはAlCl3を用いた場合と同程度の高い脱塩化水素率が得られた。酸化物系固体酸触媒のシリカーアルミナは気相反応の2-クロロプロパンの脱塩化水素反応には活性な触媒であったが,固体のPVCの脱塩化水素には活性を示さなかった。このことは,固相ではシリカ-アルミナの活性点とPVCの接触が困難なことによるものと推測される。
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