日本化学会誌(化学と工業化学)
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光化学ホールバーニングメモリーの実現可能記録密度
村瀬 至生堀江 一之寺尾 元康昆島 正啓
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1992 年 1992 巻 10 号 p. 1117-1124

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抄録

再生時間10ns/bitでSN比20を得るという実用的条件での光化学ホールパーニングメモリーの実現可能な記録密度を,理論と実験を併用して求めた。1度,深くあいたホールが,多重ホール形成により埋まる現象(レーザー誘起ホールフィリソグ)の程度が記録密度を決める主要な要因であった。ホール間隔が狭まるにつれて,ホールフィリングは著しくなった。このようなホールフィリングは今まで知られていない。この現象のため,記録密度を最大にする多重度(あるいはホール間隔)と,1ホールあたりの記録光量の組み合わせが存在することがわかった。最もホールフィリソグが起きにくいとされるポリビニルアルコール中に分散させたスルホン酸塩置換型ポルフィリンを記録媒体として,この最大記録密度を求めた。温度20Kのときには多重度130(ホール間隔0.21nm),記録光量29mJ/cm2/holeで最大記録密度1.OGbit/cm2が得られる計算となった。これをもとに液体ヘリウム温度(42K)で現状で最も適当と思われる材料を用いた場合の記録密度を換算すると,20Gbit/cm2弱になる。ここで見られたレーザー誘起ホールフィリングのより起きにくい材料を探すことが,記録密度を上げるためには最も重要である。

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