日本化学会誌(化学と工業化学)
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キラル置換基を有する非対称ピラジンの強誘電性液晶
松本 勝佐野 洋一永石 俊幸吉永 俊一磯村 計明谷口 宏
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1992 年 1992 巻 10 号 p. 1213-1219

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抄録

フェニルピラジン骨格を有する非射称置換ピラジンの置換基変換により得られたキラル置換基を有するジアリールピラジンおよびアリールピラジンの強誘電性液晶について検討した。
フェニルピラジンを骨格とする化合物では,エーテル結合を有し,不斉炭素原子がトリメチレン基を介して骨格と結合した化合物が低い温度で強誘電性を示した。ジフェニルピラジンを骨格とする化合物は広い温度範囲で熱的に安定なキラルスメクチックC相を形成する強誘電性液晶を示した。特に長鎖アルコキシル基と(5)-2-メチルブトキシカルボニル基を有する場合,広い温度範囲で強誘電性が認められた。その傾き角は22.5° に近く,自発分極もアルコキシル基の炭素数12で最も大きな値を示し,応答速度も他の化合物より速いことが明らかとなった。このような結果は電子供与性置換基と電子求引性置換基をコアの両端に持つため極性が大きく,三環の平面性がよくなり,キラルな置換基により分子の回転が制御されるため,カルボニル基による短軸方向への永久双極子モーメントが同一方向へ揃うような配列を取るためと考察した。

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