1993 年 1993 巻 11 号 p. 1244-1248
ホスホン酸ジフェニルーホルムアルデヒド縮合樹脂にテトラエチレンペンタミンを導入したキレート樹脂を用いて,金(III),白金(IV)およびパラジウム(II)の三元相互分離ならびに王水中に共存するこちれらの貴金属イオンの分離・回収を試みた。通液速度SV120h-1での吸着が可能で,100mg・dm-3の貴金属イオンを吸着処理する際,貴金属イオンの5倍量のアルミニウム(III)および銅(II)の共存が許容され,また,0.2mol・dm-3以下の硝酸の共存も許容される。吸着した貴金属イオンは0.25mol・dm-3HCl-50v/v%アセトン混合溶液,1mol・dm-3NaOH溶液および4mol・dm-3HCl5wt%KBr-20v/v%アセトン混合溶液を段階的に通液することで,金(III),白金(IV),パラジウム(II)の順に相互に分離できる。王水実験試料を処理するに際しては,試料を20倍に希釈することで良好な回収結果を得ることができ,アルミニウム(III)および銅(II)各1000mg・dm-3が共存する王水実験試料からの金(III),白金(IV)およびパラジウム(II)の回収率は,それぞれ89,85および87wt%であった。
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