日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルコール中におけるビス(アセタト)ビス(イミダゾール)銅(II)錯体の熱分解
今井 弘横山 伸幸中林 安雄
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1994 年 1994 巻 2 号 p. 130-134

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抄録

[Cu(CH3COO)2(Him)2](1)のアルコール溶液を8時間加熱還流して得られた分解析出物の組成や立体配置を調べた.1の濃度を30~7.5mMにした1-プロパノールならびにエタノール溶液から,[Cu(im)2](2)が得られた.また,メタノール溶液の場合,1の濃度を30mMにすると,2が得られたが,10mM以下の溶液から析出したものを大気中で処理すると,[Cu(im)(OH)0.4(OCH3)0.6](4a)が,また乾燥空気中で処理すると,[Cu(im)(OCH3)](4b)が得られた.4bを飽和水蒸気中で長時間放置すると,加水分解して[Cu(im)(OH)](4e)に変化した.一方,15mMの溶液から析出したものを大気中で処理すると,[Cu(im)1.8(OH)0.2](3)が得られた.これらの分解析出物は一次元鎖状構造の銅(II)多核錯体であり,ここで銅(II)イオンは平面正方型配位構造をとっている.熱に対する安定性は,2が最も優れていた.これらの析出物から,アルコール中における1の分解過程を考察した.

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