1995 年 1995 巻 5 号 p. 394-401
N-(4位置換フェニル)アゾール誘導体(これ以降 “アゾール”を,ピロール,ジアゾール,トリアゾールの総称として用いる)のうち,電子求引性置換基を有する誘導体について,置換基が吸収極大波長(λmax)および非線形光学特性に及ぼす効果ついて調べた.置換基効果は,既存の置換基定数,σpやσp-では十分に高い相関を得ることができなかった.σIとσR0とを用いたDual Substituent Parameter(DSP)式での取扱いにより,σpやσp-(σR0とσIとの係数の比はそれぞれ,O.12および1.22)より共鳴効果の寄与のより大きい置換基定数が必要であることが明らかになった.λmaxの予測を容易にするため,単一の置換基定数をDSP式でのσIとσR0の係数の比に基づいて(σR0とσIとの係数の比は3.12)作成し(報告中では〈σ〉とする),高い相関を得ることができた.一方,分子超分極率(β)に対する置換基効果は,σp-と良い相関を示した.また,これらアゾール誘導体の非線形光学材料としての有用性を第二高調波発生(SHG)活性および結晶構造の観点から検討した.エタノール中での極大吸収波長が270nmであり高い青色光透過性を示す,1-(4-アセチルフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾールは,第二高調波発生(SHG)活性を示し,結晶構造に基づく配向ガスモデルによる非線形光学定数の計算値として,d22=16.2pm/V, d23=21.5pm/Vが得られた.
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