日本化学会誌(化学と工業化学)
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水熱条件下における H-ZSM-5 および H-モルデナイトの劣化挙動
石田 浩赤岸 賢治
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1996 年 1996 巻 7 号 p. 609-616

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抄録

ホルマリンからのトリオキサソ合成反応やシクロヘキセン水和反応などの水溶液中の反応の触媒として有効な H-ZSM-5 と H-モルデナイトの劣化原因を調べる目的で, 130℃ の水のみが共存する水熱条件下での両ゼオライトの安定性を調べた。その結果,どちらのゼオライトにおいてもトリオキサン合成活性の低下が観測された。
各ゼオライトの酸量変化と 1-プロパノール水溶液の吸着法から決定した疎水性の変化から活性低下原因を追求した。
H-ZSM-5 は 130℃ の水熱条件下において格子からの脱アルミニウムにともなう酸量低下が生じるが疎水性はほとんど変化しなかった。このことから活性低下の主要因は酸量低下にあると結論した。
H-モルデナイトにおける水熱条件下での脱アルミニウムは, SiO2/Al2O3 比が 57 のものは大きく起こし, SiO2/Al2O3 比が 90 のものはわずかに起こす程度であった。しかしながら,どちらのモルデナイトにおいても,活性点である 12 員環細孔内の酸量は増加した。一方,疎水性はどちらのモルデナイトにおいても大きく低下し,モルデナイトの活性低下の主要因は疎水性の低下にあると結論した。

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