日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
顔料(銅フタロシアニンブルー)の細孔分布解析による分散性の検討
大倉 研松崎 悟
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1997 年 1997 巻 1 号 p. 73-81

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抄録

顔料の分散は,機械的エネルギーによる粉末凝集体の微粒化と,微粒化後の安定性に分けられる.これまでの主な研究の対象は,分散安定性であり,工業的に重要である微粒化については,分析手法や支配因子についての研究が十分行われていない.著者らは,顔料粉末が一次粒子の凝集体になっていることに着目し,粒子間間隙を細孔として捉え,細孔分布解析を行ってみた.本報においては,銅フタロシアニソブルー顔料をとりあげ,粒子径・乾燥条件・および顔料の表面性質の異なる顔料を調製し,それらの粉末粒子を窒素ガス吸着法により細孔分布解析をした.同時にこれらの顔料サンプルについて分散(微粒化)実験を行い,凝集構造と分散性との関連性を調ぺた.その結果,顔料粉体の凝集度は細孔分布を検討することにより,解析できることがわかった.一方,微粒化実験結果は細孔解析結果から評価される凝集度と良い相関性を示し,凝集度の強い顔料の発色性は劣った.細孔解析によるミクロボア領域の細孔容積は,一次粒子径,乾燥条件,表面処理などに支配され,それが分散性に深く関係していた.

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© The Chemical Society of Japan
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