日本化学会誌(化学と工業化学)
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層状複水酸化物層間に固定化した過マンガン酸イオンによる無極性溶媒中でのアルコールの酸化反応
島田 紘斉藤 和樹
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1997 年 1997 巻 5 号 p. 335-340

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抄録

ベンジルアルコール,シンナミルアルコール,シクロドデカノールおよび1-,2-オクタノールは,ベンゼン溶媒中,室温でMg2+-Al3+-MnO4-系層状複水酸化物の層間MnO4-と反応し,対応するアルデヒドあるいはケトンを与えることを明らかにした.
ベンジルアルコールのようにフェニル基を有するアルコールとの反応では,反応基質が残存している間は,アルデヒドへの酸化反応が選択的に進行した.これに対して,脂肪族の1-オクタノールとの反応では,アルコールが残存する間からカルボン酸への逐次酸化が進行した.アルコールの種類による酸化反応の選択性の違いの原因を明らかにするために,Mg2+-Al3+-CO32-系層状複水酸化物への反応基質および酸化生成物の吸着特性を調べた.その結果,層状複水酸化物はべンジルアルコールに比べ,ペズアルデヒドに対する吸着能が極めて小さいこと,また1-オクタノールと1-オクタナールとでは吸着能の差が小さいことが認められ,酸化反応の選択性は層状複水酸化物のもつ吸着の選択性に関係していることが示唆された.

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