抄録
2,2'-ビピリジル-ビフェニル共晶系相図の固相線や固溶限界などを帯域融解,示差走査熱量計(DSC)および顕微鏡による光学的方法により求めた.DSCにより測定した共晶点での融解エンタルピーと組成との関係より固溶限界(共晶温度における固相での溶解度)を決定した.その結果,ビフェニル中の2,2'-ビピリジルの固溶限界はモル分率でx2es=0.0573および2,2'-ビピリジル中のビフェニルについてはx1es=0.0270と求められた.さらに,帯域融解によってビフェニル側の固相線を決定し,これよりx2es=O.0705を得た.また,光学的方法では,x2es=0.0603およびx1es=0.0192となった.これらの結果をKitaigorodskyらによつて報告されている値x2es=O.08およびx1es=0.05と比較した.また,帯域融解によつて決定されたビフェニル側の固相線はKitaigorodskyらによるデータとよく一致した.