抄録
目的:一泊二日人間ドック3年連続受診者における,生活習慣病危険因子の推移を検討し,連続改善し正常値となった群と連続悪化した群について,BMI(body mass index)や生活習慣の変化などを比較することで,事後指導で強調すべき点を検討した。方法:平成14年度の一泊二日人間ドック受診者中,過去2年間連続受診歴のある354名(男性299名,女性55名)における,BMI,収縮期血圧,総コレステロール(TC:total cholesterol),空腹時血糖を経時的に比較した。次に,血圧,TC,糖負荷試験を各種学会の基準を参考にカテゴリー分類し,2年前と当年のカテゴリーの変化により連続改善正常群,連続悪化群,連続正常群,その他の4群に分け,危険因子別に各群の頻度を見た。さらに連続改善正常群と連続悪化群とで,年齢,性別,家族歴,BMIや生活習慣の変化を比較した。結果:各危険因子の平均値は連続受診による改善はなく,全項目で連続改善正常群より連続悪化群の割合が高かった。血圧の連続悪化群,血糖の連続悪化および連続改善正常群のBMIが25以上で,TCにおいては連続悪化群に50歳代以上の女性の割合が高く,BMIは低めであった。連続改善正常群と連続悪化群との比較では,3項目とも改善群にBMI低下者が多く,血圧は運動習慣,血糖は生活習慣と家族歴に差が見られた。結論:生活習慣病危険因子の改善には体重減少が関連しており,減量を中心とした指導が大切であるが,血糖では家族歴,TCは閉経を考慮する必要がある。