健康医学
Online ISSN : 2186-5019
Print ISSN : 0914-0328
ISSN-L : 0914-0328
ドック受診者における睡眠時無呼吸検査の成績と問診所見の比較
清水 敏夫林 みゆき数本 恭子小松 淳子高見澤 明美小泉 陽一
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 19 巻 3 号 p. 409-413

詳細
抄録
目的:ドック受診者を対象に閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)の簡易測定を実施し,その頻度を調査した。また,問診所見について,その有効性を見た。方法:一泊ドック受診者の男性207名,年齢は30から76歳,平均53.1歳である。この群を対象に「オートセットポータブルII」(帝人)によるOSASの簡易測定を実施した。結果:Apnea hyponea index(AHI)の5未満を正常とすると76.7%,10未満では50.0%が異常であった。軽症以上の異常は50.0%,中等症以上は16.0%,重症以上は6.8%であった。問診とAHIの判定結果では,AHI10以上の異常者が有意に高い比率を占めたのは,毎日いびきをかく,睡眠中に息が止まるなどの4項目であった。AHIとepworthsleepiness scale(ESS)診断法との関係を見ると,ESS11点以上の異常者の頻度は3.5%と極端に少なかった。結論:ドック受診者で治療の対象となるAHIが30以上の重症が6.8%と予想以上の高率であった。異常者が高率であることは,どこまでが正常かさらに検討を要すると思われる。問診で「睡眠中に息が止まると言われた事がある」と答えたのは,AHI10以上の異常者で35名(34%),正常者でも9名(9%)であった。ESS診断法では眠気を自覚していない傾向が推察されるので,実施方法,正常範囲の設定などについてさらに検討を要す。問診やESS診断法によりsleep disorderdbreathing(SDB)の予測は不十分で,少なくとも簡易測定は必須と考える。
著者関連情報
© 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top