抄録
アジア地域が「世界の工場」として注目を集めて久しいが、近年は、急速な経済成長を背景とした旺盛な消費意欲に勢いづく「世界の市場」としての期待が高まっている。しかしその一方で、急速な経済成長を続けるアジア諸国の将来性に対する不安感も聞かれるようになってきた。NIRAでは、2009年10月に刊行した報告書『アジアを「内需」に』において、アジアの消費の中心となる中間所得層等が急速に増加する姿を示したところである。今回のシミュレーションでは、前回提示したアジア各国の過去の成長トレンドが今後も持続すると想定する「経済成長持続ケース」に加えて、中国とインド両国の経済成長が低成長になったケース、また、中国とインドは低成長になるが、その他のアジア諸国は基準シナリオよりも高い成長率を維持するとしたケースの2つのシナリオを追加してシミュレーションを行った。その結果、中国とインドが低成長になった場合、当然中間所得層以上の人口の伸びは小さくなるが、それでも巨大市場が出現することには変わりはなく、将来の大規模消費市場としてのアジアの重要性が再確認された。