人びとのポピュリスト態度は、日本においてはどのような性質を持っているのか。本稿は、ポピュリスト志向を「いまの政党や政治家は腐敗しきっており、人びとの敵をやっつける強い指導者が必要」であり、かつ、「政策を決定する際は、ふつうの人びとの意見を優先するべきだ」と考えていることと操作化した上で、社会経済的属性やさまざまな態度との関連を分析した。学歴が高くなるほどポピュリスト志向にはなりにくい。世帯年収が多くなるほどポピュリスト志向を帯びにくい傾向も見られる。神経症傾向が強い人はポピュリスト志向になりやすい。信仰に価値を置かない人はポピュリスト志向になりやすい。将来社会を楽観している人ほどポピュリスト志向にはなりにくい。政治的有効性感覚が強いと、ポピュリスト志向は抑えられる。ただし、政治関心が高いほどポピュリスト志向になりやすく、ポピュリスト志向とは政治的疎外の単なる言い換えではなく、既成のエリートに対して不信を強め、政治への効力感を減じつつも関心は持っている、政治的疎外の進行段階と言えるのかもしれない。そして、ポピュリスト志向の人はそうでない人と比べて、長期的党派性と投票予定政党の両方で自民党の支持率が低いが、立憲民主党や共産党の支持率を押し上げるわけでもない。日本維新の会とれいわ新選組については、無党派層や棄権志向と並んで、ポピュリスト志向の人びとが相対的に支持している可能性がある。