2024 年 28 巻 1 号 p. 9-17
目的
女子大学生の子宮頸がん検診受診行動に関連する母親の要因について検討すること.
方法
A県内3大学の4年生女子大学生とその母親を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った.娘の子宮頸がん検診受診行動に関連が予測される各因子について,χ2検定またはMann-Whitney U検定を用いて分析した.本研究は香川大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した.
結果
分析対象は59組であった.娘の子宮頸がん検診受診行動には,母親による検診の勧めが強い関連を示した.また,検診を勧めた母親群の方が勧めていない群より子宮頸がんに関する質問の正解数が多く,母娘関係尺度の「過去の対立・葛藤」「母の支配」項目では,母親が検診を勧めていない娘群の因子得点は勧めている群より高く,「母への信頼」項目では低かったが,統計的に有意な差ではなかった.2つの知識質問において,母娘の回答が一致した群は不一致群に比べて「母の支配」得点が有意に低かった.
考察
青年期女性の子宮頸がん検診受診行動には,母親による検診の勧めが強く関連することが明らかとなった.また,母親の知識においては,娘の受診行動に直接関連はしないものの,「娘に検診を勧める」という行動に関連する可能性が推測でき,母親世代への知識普及の重要性が示唆された.良好な母娘関係を築き,母娘間で正しい知識を共有することが,青年期女性の子宮頸がん検診受診行動の促進につながる可能性が示された.
結論
女子大学生の子宮頸がん検診受診には,母親による検診の勧めが関連することが明らかになった.青年期女性の子宮頸がん検診受診行動を促進していくためには,良好な母娘関係を維持することや,母親が娘に検診を勧めること,母娘が正しい知識の共有を行うことを促進させていくことが重要であると考える.