日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1G301
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アクタリット内服後にループス様症状を発症した一例
三浦 貴徳本間 玲子
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抄録

<緒言> 全身性エリテマトーデス(SLE)は、膠原病の代表的疾患であり皮膚をはじめ全身の臓器を障害する疾患である。以前より、抗痙攣剤や抗不整脈薬など各種薬剤によってSLEが発症することが知られている。今回、抗リウマチ薬であるアクタリットの投与後に、ループス様の症状を発症した一例を経験したので、報告する。
<症例> 症例は、84歳女性。平成17年1月下旬より右足関節痛出現し、同年2月17日に当院整形外科受診。化膿性関節炎の診断にて同日入院となった。抗生剤の投与によって症状改善したため2月25日に退院となる。しかし、退院後再び両足関節の腫脹、疼痛が出現。採血にてリウマチ因子も陽性であったため、関節リウマチと診断され、アクタリット300mg/日が開始された。足関節炎は、一時改善したが、同年5月下旬より、発熱、全身の多関節炎が出現したため同年6月8日に当科紹介、同日入院となった。リンパ球減少、多関節炎、抗核抗体陽性、抗DNA抗体陽性からSLEと診断。また、アクタリット投与前の検査で抗DNA抗体が陰性であったことから、アクタリットの副作用と考え同薬を中止し、プレドニゾロン10mg/日開始したところ速やかに症状が改善し、現在プレドニゾロン減量中である。
<考察> 関節リウマチに対して、さまざまな抗リウマチ薬が使用されるが、サラゾスルファピリジン、D-ペニシラミンなどの薬剤によってループス様症状がひきおこされることは以前より知られている。また、最近使用されるようになったTNFに対する阻害薬であるエタネルセプトやインフリキシマブ によってもループス様症状が発症することも明らかとなってきている。抗リウマチ薬の持つさまざまな免疫調節作用が抗DNA抗体出現などのループス様症状を発現させる可能性も考えられ、抗リウマチ薬使用にあったては注意を要すると考えられる。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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