日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F10
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一般演題
当院におけるPET-CT検査の運用
電子カルテ、PACSとの連携を踏まえて
高田 章岡江 俊治福嶋 洋道大嶽 一夫市川 敦子
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キーワード: PET-CT, 電子カルテ
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抄録

 2005年4月より18F-FDG(フルデオキシグルコース)を用いたPET検査が保険適用となったが、施設内でサイクロトロンを用いて薬剤を合成する必要があった。2005年8月より18F-FDGの販売が開始され、合成工場の近隣の施設であれば配送された薬剤を用いて検査を行うことが可能となった。
 当院ではシーメンス社のPET-CT装置Biograph Sensation 16を導入し、2006年4月より配送された薬剤を用いて運用を開始している。また、2002年より電子カルテが導入されており、検査のオーダリングから結果の表示までが電子カルテ上で行えるようになっている。また、画像はフィルムレスで、PACSによる運用となっている。PET-CT検査の保険適用は15疾患と限定されており、適用から外れたオーダーが入らないようなシステムの構築が必要であった。体重が重いほど画質が劣化しやすいため、その影響を最小限にとどめるよう体重に応じて検査の順番を決められるようにした。血糖値の影響を受けやすいため、食事制限や糖尿病薬剤の投与方法についての説明書を電子カルテから印刷できるようにした。
 1症例の撮像時間はおよそ30分であるが、症例によっては遅延像を追加する必要がある。18F-FDGの配送は1日に3回あり、そのスケジュールに合わせて無駄なく遅延像が撮像できるように検査のスケジュールを組む必要が合った。遅延像の撮像が必要か否かは1回目の撮像の終了後、30分の回復時間の間に放射線科医が決定している。即座に判定できるように放射線科医がPET-CT室に常駐するようにした。
 作成される画像は400から500枚と膨大であり、電子カルテのビューアで全てを観察することは容易では無い。また、画像を作成する過程でDICOMのタグが消失してしまい、位置情報が分からなくなってしまうため、PET画像、CT画像、PETとCTの融合画像は全く同じスライス断面で作成し、同一断面を表示しやすくする工夫が必要であった。
 読影に関しては、全く新しい検査であり、重要な位置づけの検査のため、放射線科医および放射線技師が毎日カンファレンスを行って診断している。
 検査開始前には院内向けに説明会を2回行い、運用直前の医局会でも再度説明を行っているが、当初の検査の予約は少なかった。科ごと、医師ごとにPET-CT検査の認識が異なっており、十分な宣伝が足りなかったためと考えられた。
 これらの電子カルテやPACSを通したPET-CT検査の運用の問題点やその解決方法について概説する。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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