日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1D22
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一般演題
当院における外来化学療法の実際
宮崎 嘉英
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抄録

<はじめに>平成14年に医療保険制度改正で外来がん化学療法に診療報酬上加算(300点/日)・無菌製剤処理加算(40点/日)が認められたことと、患者様のQOL改善のため当院でも平成16年4月より外来化学療法室設置し、導入となった。
 外来化学療法が軌道にのると、在院日数短縮、外来診療単価改善、外来収入と患者数増加、QOL改善により患者の満足度を向上するなどの利点も多い。しかし、帰宅してからの時間帯におこる遅発性副作用への不安を感じている患者がいる現状があった。その不安軽減のためには自己管理できるように継続看護が重要である。
 今回、個別な情報を共通理解するためのフェイスシート、共通指導が行われるように、患者チェックリスト・知識理解度表を作成し試行した。以前に比べ情報収集しやすくなり、スタッフ教育も充実した。患者より満足の言葉も聞かれるようになったので報告する。
1、外来化学療法の実施までの流れ
 (1) (初回)医師によるレジメン(治療計画書)提出後、薬剤部で審査(投与可能条件・投与量・回数等)、外来化学療法処方箋プロトコール作成し、クリティカルパス作成(以下、CPとする)
 (2) 医師が、処方箋・外来治療ベッド予約受付用紙記載し薬剤部と治療室へ提出
 (3) 当日採血し各科外来医師施行許可後、治療室・薬剤部に連絡し治療室で実施
現在プロトコールのある外来化学療法にはCPが導入されており、各プロトコールで副作用の特徴があるものは、観察内容として記載され、化学療法前後のバイタルサインチェック・PS評価記入欄がある。
2、患者指導の流れ
 (1) 治療室の使用説明
 (2) 患者チェックリストA
 (3) 患者情報収集しフェイスシート作成
 (4) パンフレット(化学療法)にて指導
 (5) 患者チェックリストB
 (6) チェックリストにより知識不足の点を重点的に個別指導(高齢のため理解困難、疾患による記憶障害等ある患者様には家族にも指導)
 (7) 各チェックリスト再度行う
 以上の内容が、共通指導できるよう、スタッフ指導用紙「ケモ室NS理解度表」を作成した。
 今回、フェイスシート・患者チェックリスト・指導パンフレット・「ケモ室Ns必要知識理解度表」など使用することで、以前にくらべ情報収集しやすくなり、スタッフの教育も充実した。患者より満足の言葉も聞かれ、病気に対する相談も受けるようになった。
 化学療法室看護師は、がん化学療法に関する知識・技術の習得をしたうえでの観察力がもとめられる。また副作用の観察の他に、患者が抱えている日常生活上の問題を知り個別性ある看護へとつなげていくことが大切である。化学療法室看護師は問題意識を持ち、看護アセスメントしやすい整理された記録情報用紙に記載し、活用していくことが、継続看護充実につながると考える。
<おわりに> 外来化学療法は、抗がん剤の開発や治療の多様化に伴い,今後もさらに増加していくことが、予想される。
外来がん化学療法マニュアルをさらに充実させ、安全で確実な化学療法が実施されるようにしていきたい。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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