2022 年 2022 巻 134 号 p. 28-41
本研究では,消費者の馬肉購入時に重要視する要因を馬肉の産地で内食としても一般的に食べられている福島県と熊本県,そして多様な食の中で馬肉を消費する機会が比較的ある東京都を対象に分析を行った。まず全体からみて,馬肉購入時には消費期限や肉の色・つや,国産が特に重要視されていることが示された。次に二元配置の分散分析の結果,福島と熊本では東京よりも価格が重要視されていること,馬肉消費の頻度が多い消費者は馬肉の部位,栄養やカロリーについて重要視されていること,そして「肉の色・つや」「国産」「産地」「ブランド・銘柄」に関して地域と馬肉の消費頻度による交互作用が確認された。そして決定木分析の結果,各地域において馬肉消費の頻度を規定する要因にはパターンの違いがあることが明らかとなった。これらの結果より馬肉食が一般的な熊本と福島の嗜好の違いと,馬肉の特性を前面に出した東京における馬肉食普及の可能性が示された。