福井県高浜町では,環境省の絶滅危惧Ⅱ類に該当するキンラン Cephalanthera falcata が自生し,ランミモグリバエ Japanagromyza tokunagai による採食が確認された。本研究では,キンランをランミモグリバエによる採食から守るために,花茎に袋掛けおよび薬剤散布を行った。供試株数は袋掛け処理群が2 個体,薬剤散布処理群が2 個体,未処理群が3 個体である。袋掛けは2021 年4 月27 日,薬剤散布は1 回目を2021 年4 月27 日および2 回目を2021 年5 月12 日に実施した。薬剤はシロマジン液剤を用いた。果実の回収は2021 年11 月25 日に行った。3 処理群における完熟種子の割合は,袋掛け処理群が100%,薬剤散布処理群が約56%,未処理群が0%であった。ランミモグリバエからキンランを保全するためには,袋掛けが最も有効であり,薬剤散布では完全にランミモグリバエの採食を抑制できないことが示唆された。