理論と方法
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特集 数理社会学とシミュレーション
2次選抜を必要としない研究室配属制度の設計
富山 慶典細野 文雄
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1999 年 14 巻 2 号 p. 2_73-2_88

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抄録

 研究室配属とは,大学における卒業研究やゼミナール活動などのために,学生を研究室に配属させることをいう。“学生は1つの研究室にしか所属できず,研究室は定員をもち,学生と研究室の両方の意向にもとづいて配属するということを前提として,すべての学生をどこかの研究室に必ず配属する”という要請を満たす研究室配属制度を対象とする。社会的マッチング理論に基づく学生志願型GS制度は,この要請を満たし,かつ,いくつかの理論的に望ましい性質をもっている。しかし,すべての学生がすべての研究室に対する線形の選好順序に基づいて全研究室数分の順位を表明するということを仮定している。実際の研究室数はそれほど小さくないため,非現実的である。この制度を実際に利用できるようにするためには,比較的小さな学生表明順位ですべての学生の配属が可能であるか否かを調べなければならない。そのため,モンテカルロ・シミュレーションを実施した。その結果,学生の情報処理能力からみて無理がなく,配属される研究室に対する学生の希望順位の格差を小さくできる比較的小さな学生表明順位と,配属される学生数を研究室間で均一化できる小さな研究室定員との組の存在が明らかになった。

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© 1999 数理社会学会
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