2003 年 18 巻 2 号 p. 169-183
進化ゲーム理論には、「生物系」「経済系」、「文化進化系」の三つの理論体系がある。「文化進化系」は、「経済系」の進化ゲーム理論を発展させたものである。「経済系」の進化ゲーム理論では、利得が高い戦略が広まっていくと仮定するが、「文化進化系」では、この仮定が成立しない場合についても取り扱うことができ、多数派同調の効果や、戦略表明の効果が存在する場合も考慮する。本論文では、それぞれの効果をもちいて、社会的ジレンマ状況における協力の発生を示すモデルを作成する。このモデルにより、繰り返しゲーム特有の戦略を考慮しなくても、協力が進化しえることが示される。