2004 年 19 巻 2 号 p. 197-212
本稿は、宗門改帳を用いた統計分析および社会学におけるリレーショナル・データベース(RDB)利用の可能性を考察するものである。まず、世帯に関する質問紙調査の代表的存在である世帯動態調査を比較対象にして、宗門改帳の形式の特徴について述べる。ついで、様々な形式のデータを結合し、非定型データを定型データに変換する上で有効な道具となりえるRDBの特徴と、歴史研究における導入の事例を紹介する。その上で、宗門改帳の情報から、世帯動態調査と同様に子との同居率やその変化を算出するための変数を作成する方法について、具体的にSQL(RDB操作の標準言語)文を示しながら解説していく。さらにそれを踏まえて、社会学における質問紙の効率的な利用のためのRDBの応用可能性についても提案する。