日本温泉気候物理医学会雑誌
Online ISSN : 1884-3697
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習慣的温泉入浴による癌既往者の生存延長は糖尿病罹患率の見かけ上の増加に関連している
前田 豊樹
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論文ID: 2354

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抄録

  2018年には,世界一の源泉数を誇る別府市において,高齢者の習慣的な温泉入浴による疾病予防効果に関する疫学的研究を報告した.この分析では,糖尿病の女性は,習慣的に温泉を利用しない人よりも習慣的温泉利用者により多く見られた.この温泉浴の明らかな悪影響が本当かどうかを調べるために,本研究では糖尿病女性の複雑な背景疾患を調査した.入浴者と非入浴者の糖尿病に合併する背景疾患を比較した.温泉を利用しない人に比べて,糖尿病患者は温泉を利用する人の方が,がん生存率が高いことが明らかになった.観察されたオッズ比は,温泉浴に関連するがん生存促進が,過去にがんの病歴を持つ糖尿病女性の数の増加につながり,習慣的な温泉浴が糖尿病の病因を促進するよりもむしろ,温泉浴で糖尿病の女性の増加につながることを示唆していた.

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