幼児期の教育から小学校教育への接続に関する考察

双方の教職員の認識に焦点をあてて

抄録

幼保から小への接続の実態を把握するため，幼保が取り組んだ内容と，小学1年担任がどのような認識をもっているかの二つの内容を柱とするアンケート調査を行った。調査の結果，幼保での接続を考えた取り組みと小学1年担任が期待する内容とのつながりは弱く，この問題についての双方の連携した動きの脆弱さがあらためて示された。また，そのことを裏付けるように，幼保と小との日常的な交流の実態が教職員・子ども共に一部を除き低調であることが示された。一方で，この問題に積極的に取り組んでいる事例から幾つかの教訓を導き出すことができたほか，現場では新たな側面からの連携の動きも生じていることが明らかとなった。円滑な接続のために教職員研修の充実が不可欠であり，特に幼保から小への学びの一貫性についての理解が求められている。