Organ Biology
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二次元培養から三次元培養への潮流~細胞培養技術の変遷~
宮本 義孝池内 真志河野 菜摘子
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2019 年 27 巻 1 号 p. 37-52

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抄録

20世紀の初頭に組織・細胞培養技術が提唱され, およそ100年以上が経過した. 科学技術と共に組織・細胞培養技術も発展し, 近年では, 細胞から生体内の各組織・器官を創製するために, 再生医療, 組織工学, 電子工学などの分野で研究開発が盛んに行われている. 中でも, 細胞培養技術の潮流は, 古くは二次元培養が一般的であったが, 現在は生体内に近い三次元培養が主流となってきた. 多孔質膜やハイドロゲルなどの足場を利用して三次元的に形成した細胞・組織構築物(スフェロイドあるいはオルガノイド)は, 二次元培養と比べて生体に近い優れた機能を有する. さらに, 微細加工技術を用いて, 臓器チップ(Organs on a Chip)のようなチップやデバイスが開発され, 医薬品開発やオーダーメイド医療への活用も期待されている. そこで, 本稿では, 細胞培養技術のこれまでの歴史と二次元培養, 三次元培養の現状と今後の展望について述べる.

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© 2020 日本臓器保存生物医学会
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