Organ Biology
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日本医学会の歴史とアカデミアの社会的責務
門田 守人
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2020 年 27 巻 2 号 p. 107-112

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抄録

日本医学会は, 1902年に日本聯合医学会として創立され, 1910 年に日本医学会(以下医学会)と改称, 4年毎に医学会総会を開催する自主独立の組織として活動を続けてきた. 戦後間もなく, 連合軍総司令部(GHQ)は, 社団法人として再出発した日本医師会(以下医師会)に学術的な機能を持たせる必要があるとして, 医学会を医師会に合流させた. 医学会の中にはこの対応に異議を唱える者もあったが, 1948年以降60年近くこの体制が続いた. 2006年, 医学会のあり方を見直す動きが始まり, 「医学会は日本を代表する学術団体として法人化すべき」との意見が出された. 引き続き検討がなされ, 2011年開催の日本医師会・医学会役員協議会で, 当時の医師会長より法人化の方向性を認める回答が出された. そこで, 医学会では法人化準備委員会を立ち上げ, 基本構想等の具体的な検討に入り, 紆余曲折の後, 2014年4月に「一般社団法人日本医学会連合」が発足した. 医学会が創立され117年が過ぎた現在, 国内外の政治, 経済等の社会情勢の急激な変化とともに, 医学・医療を取り巻く環境は, 大きく変貌している. こうした中で変わらない理念は, 医学・医療が人と集団の健康を守り, 人類の福祉に寄与するために存在することである. 医学会は, この理念の達成のため, 医学・医療の科学ならびに技術の革新を一層推進し, 医学研究者は高い倫理観のもとに医学・医療に携わり, わが国の医学・医療の水準の向上を目指し活動していかなくてはならない. 即ち, 医学会は日本を代表する医学領域の学術団体としての社会的責務を果たさなければならない.

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© 2020 日本臓器保存生物医学会
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