抄録
近年,パラスポーツの実施状況について,ハード面およびソフト面の両側面からの検討が進められている.第2
次スポーツ基本計画では,ライフステージに応じたスポーツ活動の推進を目標に掲げ,成人のスポーツ実施率
について「1 回以上を40%程度」「週3 回以上を20%程度」とする数値目標を提示している.一般的に「パラスポ
ーツ」と聞くと,パラリンピックを代表とするハイパフォーマンススポーツが連想されるが,それだけにとどまるもの
ではない.いわゆる障害者とスポーツという視点から見ると,スポーツの実施状況は依然として低水準にとどまっ
ている.東京パラリンピックの開催決定を契機に,障害者のスポーツ環境は整備が進んだものの,2020年時点における障害者のスポーツ実施率は「週1 日以上で24.9%」「週3 日以上で12.3%」と低い水準にとどまっている.このことから,スポーツを楽しむ環境の整備が喫緊の課題であることが明らかである.これらの解消には,スポーツや運動プログラムの作成はもちろん,活動を支援する指導者等の適切な配置が重要となる.本研究では,発達障害児を対象としたスポーツ支援に携わる指導者への面接調査を通じて,コーチング環境の在り方について検討した.調査対象者は,発達障害児を対象としたスポーツプログラムを企画・運営する国際的なスポーツ資格を有する指導者である.面接調査の結果,指導者が発達障害児との関わり方や距離感の調整,障害特性への理解や気づきが,コーチング環境における重要な要素であることが示唆された.また,インタビュー分析から得られた興味深いデータも明らかとなり,これらについては今後の学会において報告する.本研究は,JSPS科研費23K10670 および21K11399 の助成を受けたものです.