ソノケミストリー討論会講演論文集
Online ISSN : 2424-1512
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4. 金属板上の半球気泡からのソノルミネッセンス
安井 久一
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p. 21-24

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抄録

1997年に、Weningerら[Phys. Rev. E56, 745(1997)]が報告した金属板上の半球気泡からのソノルミネッセンスを、筆者が構築した気泡収縮の準断熱圧縮モデル[K. Yasui, Phys. Rev. E56, 6750(1997)]で理論的に解析した。Weningerらは、半球気泡からのソノルミネッセンスは、キセノンとクリプトン、すなわち質量数の大きい希ガスからでしか観測できなかったと報告した。本研究は、そのメカニズムを解明することを目的とする。本研究により、次のことが明らかになった。まず、質量数の大きい希ガスの方が、気泡内の最高到達温度が大きくなること。これは、質量数の大きい希ガスの方が熱伝導率が小さく、また気泡収縮の際に気泡内の気体のもつ運動エネルギーが大きく収縮が止まった際にそれが熱に変わるためである。質量数の大きい希ガスからの半球気泡ソノルミネッセンスが明るいのは、この気泡内の最高到達温度が大きいことと、イオン化エネルギーが小さいためである。イオン化エネルギーが小さいと、電離が起きやすくなり、発光の素過程である電子の制動放射と、電子と陽イオンとの間の放射性再結合が起きやすくなる。また、二原子分子の場合は、その比熱が大きいために、気泡内の最高到達温度が著しく小さくなる。その結果、発光強度も小さくなる。

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© 1999 日本ソノケミストリー学会
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