抄録
産業の連関構造,たとえば材料等の中間財の投入構造を決定するのは,技術面で投入財の機能特性の適合性,優劣,経済面でその価格と考えられる。この両者を統合して比較する尺度を作ることは一般的には難しい。この論文では構造材料に焦点を当て,その機能,すなわち強度と材料価格を結びつけ「機能当たりコスト」を算出,競合材料の競争力を比較する。構造材料の中で,鉄の優位,木材・コンクリートの息の長い強さ,華々しく登場した新素材の意外な苦戦が明らかにされる。本稿はI-O表そのものの分析ではないが,その背景となる技術,経済両面の分析を融合する興味ある試みである。