2001 年 10 巻 1 号 p. 4-12
慶應義塾大学産業研究所を中心とする未来開拓プロジエクトにおいて,このほど1990年のアジア諸国の環境・エネルギー問題分析用産業連関表(EDEN1990)の推計か完成した。これは,アジア9カ国を対象に各国の産業連関表を共通分類によって再集計し,そして付帯表として各部門のエネルギー投入量,エネルギー消費量,C02発生量,SO2発生量を統一的な基準の下でまとめたデータベースである。これまで経済発展と環境保全との関係を実証分析しようとすると,利用可能なデータの少ないことが大きな制約になっていたが,EDENはそのような制約を緩和するのに役立つデータベースである。本稿はEDEN1990を用い,アジア諸国間の産業構造の違いがもたらす環境影響について実証分析を行った。ここから得られた結果は近い将来に国際的なCO2削減対策の具体化のために利用できると考えられる。