抄録
昭和60年東京都地域間産業連関表によると,東京都内分配所得(約56兆円)の79%が,都内で支出され,21%は他地域で支出されたことがわかる。つまり東京都では,都内所得の三面等価原則が成立していないことになる。この主な原因は,東京都周辺県から毎日流入する約220万人の通勤者の経済活動によるものである。つまり,これらの人々は,都内での生産活動で得た所得のうち,大部分を居住地で支出し,残りの内の一部を,こづかいとして都内で支出するからである。このように,夜間人口約1,180万人の都民が都内で行う消費行動と,昼間人口と夜間人口の差,つまり純増約220万人の他県民が通勤・通学に伴って都内で行う消費行動を分析することは,巨大都市東京の特徴の1つである,経済機能の一極集中に対する新しい分析視点をもたらす。巨大都市東京の消費構造を分析するためには,消費者の世帯属性別消費行動及びそれらの世帯の所得変化が,生産者の生産品目の選択に関連するような,分析枠組みが望ましい。この分析装置として,「数量-価格コンバータ」を用いた。