産業連関
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〈特集〉アジアの産業連関表
タイ経済発展と産業連関構造の変化
1975-2005 年
新谷 正彦
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2012 年 20 巻 1 号 p. 84-102

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抄録

1975 年より 2005 年にいたる 5 年毎と 1998 年との産業連関表を用いて,産業連関構造の変化よりタイの経済発展要因を数量的に明らかにすることを試みた.この場合,産業構造の変化を,基準時と比較時との間の各産業の生産額変化として把握し,その生産額変化を産業連関分析の枠組みの中で説明する生産額増加の要因分析と生産額の均衡成長からの乖離の要因分析を試みた.時間の経過とともに産業合計の生産増加額は漸増した.これら生産増加のリーディング産業は,電気機械産業とその他中間財製造業であり,これら産業の生産額増加の主要因は輸出増加であった.なお,輸出主導経済の躍進期(2000-2005 年)に,輸送機械産業の生産額が急増し,生産増加のリーディング産業の一員となった.この場合の生産額増加の主要因も輸出増加であった.生産額増加の要因分析は,タイ経済が第 1 次産業から第 2 次産業へ変化し,第 2 次産業が発展している時期を描き出した.そしてタイにおける輸入代替政策から輸出主導経済政策への転換の成功をも描き出した.各産業の生産額の均衡成長からの乖離の要因分析は,生産額増加の要因分析の結果を補強するものであった.

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© 2012 環太平洋産業連関分析学会
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