抄録
北海道経済は明治政府による関発に始まり,中央政府主導型の成長を続けてきたことで知られている。とくに戦後,北海道は食料とエネルギーの豊かな供給基地としてその公共投資の盛行を通じて日本経済の復興に大きく寄与した。しかし石油危機を転機として,日本経済のハイテク化への転換路線の中で大きく乗り遅れをみせ,一方,行財政改革による公共投資の削減の影響からこれまでの成長テンポは著しく低下する結果となった。地域産業連関分析の成長要因分析手法は,このドラマチックな変貌過程を業種別の産業構造変化を通じて生き生きと表現することができる。以下,このユニークな分析手法を通じて21世紀に向っての北海道経済の望ましい方向を採ってみよう。