抄録
日米貿易摩擦と数量目標の問題を,I-Oモデルの立場から分析する研究が近年注目されている。繊維から始まって鉄鋼,家電,自動車,半導体等々,時代とともに日米関の貿易摩擦の種はつきない。日米両国政府がいかにしてこの問題に妥協を見出すかは双方に協力精神がない限り解決できないが,I-O分析をベースとする両国の産業政策を通じて,例えば日本からの製品輸出を抑え,米国からの部品輸入を増やせは日本の対米貿易黒字(米国の対日貿易赤字)はかなり削減できる可能性が生じる。このほかにもいくつかの選択肢があり,マクロ政策のレベルではなく,産業別の政策協識のレベルで,どこまでこの問題に妥協が見出せるかは実に興味ある問題であろう。以下,この問題を詳細に検討してみよう。