抄録
金大中韓国大統領が対日政策を大きく軌道修正したことは昨年の大事件の1つであった。昨年秋の金鐘泌首相訪日以後,にわかに話題になっているのが韓国と日本の自由貿易地域の形成である。すでに民間経済のレベルでは両国は相当の相互依存体制にあったのだが,政治面でのぎくしゃくした両国関係がそれを幾分かは阻害していたことを否めない。隣国同士の関係が改善するのは歓迎すべきであろうし,EC,NAFTS,AFTA等と地域経済統合が発足するなかで,東アジアでもそうした考えが出てくるのは,むしろ自然な流れといえる。こうした日韓の新しい時代を象徴するイベントが2002年のサッカー・ワールドカッフの共同開催である。本稿では,日韓国際産業連関表を用いて,相互依存の大きさを再確認することにしよう。