日本財団パラリンピックサポートセンターパラリンピック研究会紀要
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知的障がい者のパラスポーツ参加
ジャン バーンズ
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2020 年 13 巻 p. 41-60

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抄録

スポーツを実施することは,健康な生活を構築し維持するために非常に重要な方法であり,これは知的障がい者の場合にはなおさらである。本論文は,知的障がいが障がい者およびその家族の身体的および心理社会的幸福の双方に影響を及ぼす仕組みや,スポーツを行うことによってこれがどのように改善されるかを示している。また,知的障がい者のスポーツに関与している主要3団体─スペシャルオリンピックス,VIRTUS(旧INAS)およびパラリンピック─とその機能および関係性についても説明している。資格や分類方法の簡単な歴史や,現在これらの組織においてそれがどのように運営されているかについても説明している。同論文は,身体的健康の悪化,社会的排除,心理的脆弱性の点におけるニーズの高まりを提示し,スポーツがこれらの人々やその家族にもたらしうる実証済みのプラス効果を考察している。これには健康の改善,肥満や心疾患などの二次的健康リスクの低減,友人関係や社会的包摂の向上,自尊心や主観的幸福などの心理的要素の改善などが含まれる。家族の孤立緩和や共同体意識といった,家族に対する影響も考察している。社会的レベルにおいては,知的障がいを伴うアスリートが参加するパラリンピックなどの大規模なスポーツイベントが,観衆の考え方に影響を及ぼす仕組みについて説明されている。最後に,東京2020パラリンピック競技大会が,知的障がい者に対する社会の姿勢を変化させ,彼らの社会的包摂を促進させる可能性についても考察している。

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