パラリンピック・ムーブメントの歴史はオリンピック・ムーブメントと複雑に絡み合っており,これは今後も変わらないだろう。だが,パラリンピック・ムーブメントとオリンピック・ムーブメントそして両競技大会が一体化するのか,それぞれに独立するのか,あるいは現状のままなのかは不明であり,これが本稿の検討テーマである。仮説として,この両ムーブメントと競技大会は今後融合し続けることが考えられるが,その理由としては,スポーツ内外におけるいくつかの世界的動向が挙げられるだろう。例えば,国・ローカルレベルのパラリンピックスポーツのガバナンスの変化,障がい者アスリートの健常者スポーツへのインクルージョンの進展の遅れ,社会やビジネスにおける世界的動向としての平等・ダイバーシティ・インクルージョン,開催に意欲的な都市を確保するためのメガイベントが抱える課題,障害文化の経済・政治力の増大などである。