抄録
メソポーラスチタニア薄膜の形成に与える化学処理の効果について検討した。テンプレートとして両親媒性高分子を用いたゾルゲル法を適用してヘキサゴナル構造を有するチタニアゲル薄膜を形成した後、pHの異なるアンモニア水溶液の蒸気に曝して化学処理を行った。その結果、pHが11.2から11.6のアンモニア水溶液の蒸気に曝して化学処理を行った薄膜では、メソ孔が規則的に配列したメソポーラスチタニア薄膜が得られた。一方、pHが12.0以上の場合には、チタニアのナノリングが生成した。pHが11.0以下の場合には、薄膜はチタニア微結晶から構成されていた。以上のことから、非常に限定的な化学処理条件下においてのみ、メソポーラスチタニア薄膜の形成が可能であることが示唆された。