主催: 公益社団法人日本セラミックス協会
黒檀、紫檀等硬質木材資源は、我が国において建材、家具、楽器など多くの産業での基本素材となっているにもかかわらず、現在、熱帯雨林地方における森林資源の枯渇とそれに伴う保護のため入手が困難になっており、硬質木材代替材料の開発は、地球環境保護と我が国産業の持続的発展のため重要な課題となっている。 硬質木材の特性を調べた結果、高い剛性と高い振動吸収性(ダンピング)という、相反する性質を両方有する特長があることがわかった。我々は、これまで多孔質セラミックスの微細組織制御と含浸用樹脂の最適設計を通じて、安価かつ軽量な高剛性・高ダンピング材料の開発研究を進めてきており、ワラストナイト系セラミックスと高分子の複合化により、硬質木材と同等の振動特性を有する材料を開発した。この材料は、後加工が困難なセラミックスの欠点を克服する良好な切削加工性を示し、例えば木管楽器など、高い形状精度が必要とされる用途にも音響特性・加工特性共に優れた性質を示した。