主催: 公益社団法人日本セラミックス協会
既往の研究では、水熱反応において、SiO2成分として非晶質シリカを使用すると、前養生から昇温時にかけて、粒子表面にゲル状の水和層を形成するため、水熱養生下で、結晶性のトバモライトが生成されないということが報告されていた。 そこで、粒子表面のゲル状の水和生成層を剥がし、常に新しい表面を作りながら、反応を行うことが有益であると考え、前養生の段階で、本来は、静置した状態で水和反応を行うところを、遊星ボールミル内でセメントと非晶質シリカを含むSiO2成分との粉砕水和を行い、検討を加えた。 その結果、繊維の熱劣化がまったく起こらない、160℃の水熱反応において、結晶性のトバモライトが生成した。これは、水熱養生前の水和生成層が、結晶性物質であったために、昇温時から水熱養生下においても、SiO2成分の反応が阻害されないためと推察した。