抄録
BaO-P2O5-B2O3ガラスには光学ガラス及びフリットガラスへの応用が期待される。同系のバルク及び粉末ガラスについて、特性温度であるガラス転移温度および結晶化開始温度の組成依存性を調べた。組成は50BaO-502O5を基礎とし、種々のB2O3含有量を含むものである。バルクガラスでは一定昇温速度によるDTAでの熱処理において結晶化挙動を示さないガラス組成であっても、粉末性状では結晶化が起こるガラス組成がある。B2O3含有量に依存して、熱的安定性に劣る組成、熱的安定性に優れる組成及び分相ガラス組成の領域に分類される。熱的安定性に優れるガラスはバルク及び粉末性状のいずれにおいてもDTAの評価において結晶化挙動を示さない。ラマン分光によりガラス構造の解析を行い、ガラスの熱的特性と構造との相関性を検討した。